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Handle with Care

W.A.Y Augurio & more...

2006.10.22/Sun  21:47:11

 
涼やかな静けさの中 
 

それは秋の夜の話

高く遠く瞬く星々
絶えず囁く虫の音

苔の生す庭石に腰を下ろし
ただじっと時を過ごす青年
身体の芯までも浸していく
その静やかな時に身を委ね

短くは無い時間と秋の夜風
それが微かを積み重ね奪う
その冷えた腕に暖かなもの
少し痛いくらいに心地良く

ふと顔を上げれば少女の姿
長身の青年と小柄な彼女は
彼が腰掛けている今だから
その瞳の高さは等しく近い

そっと手に預けられたのは
長く使われた色を持つ湯呑
淡く白い湯気の理由は勿論
暖かく淹れられた物だから

こんな季節になったからと
その微笑みに僅か瞳が動く
知っている少女の笑顔とは
何か変わっていた気がして

気付いていなかっただけか
その呟きは言葉にはならず
ただ少女の遠慮な問いかけ
それに小さな手招きで頷く

それは秋の夜の話

ただ普段より近く
星を見上げる二人
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category: 恋彩華
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